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多比良浩之

後藤正幸先生

更新日:2021年8月12日

理工学術院 創造理工学部 経営システム工学科 教授


専門

データサイエンス / 機械学習 / 経営情報 / ビジネスアナリティクス / マーケティング分析



今回は早稲田大学創造理工学部経営システム工学科で、経営情報学やデータサイエンスなどの研究をされている後藤先生にインタビューしました。

需要が高まっているデータサイエンスを最先端で研究されている後藤先生に研究、教授の道、データサイエンスに関する知見などをお聞きすることができました。

教授の道、データサイエンス分野に興味がある方、アカデミックな生き方に興味がある方は必読です!



現在研究されている分野 

〜企業と共同研究!?〜


ー本日はお忙しい中、ありがとうございます!早速ですが、現在研究されている分野はどのような分野になるのでしょうか?


現在はデータサイエンスとビジネスアナリティクスの分野を幅広く研究しています。10社以上の企業さんと共同研究をしていて、購買履歴、サイト閲覧履歴、従業員のコミュニケーションデータなど、幅広いデータの分析技術を扱っています。人工知能や機械学習などの最先端のデータ分析技術も駆使します。いわゆる、今注目されている技術ですね。


ー実際の企業さんとも研究されてるんですね!企業さんと研究する上で難しい点などはありますか?


ビジネス的に役立つ結果を求められることですかね。つまり企業さんにとっては利益になることが大事なので、単純に方法論が新しいだけではダメなんです。一方で、大学としては学術的にも価値のあることをしたいので、その辺りのバランスは先に合意してから共同研究を進めるようにしています。


ーなるほど、そこは重要な観点ですね。コンサルティング企業に近いようなこともされるんですか?


そうですね。相談事を聞くこともあります。しかし、大学はコンサルティング企業ではないため、相談事に応じるばかりではありません。



教授への軌跡

〜研究の道は泥臭い?〜


ー後藤先生はいつから研究の道を進むようになったんですか?


博士課程に入る頃からですかね。大学では野球ばかりしていました。「これではいかん」と考え、修士課程に進んだ後、進路をどうしようか迷っていた時に、当時の教授から「研究があってるんじゃない?」と言われたので。その後、情報数理やベイズ統計を中心に、統計的品質管理や在庫管理の研究もしました。


次に東京大学大学院の助手のポストに入ったのですが、そこでコンサル出身の教授のもとについたのです。その研究室では2年間企業と一緒にビジネスモデルの研究をしていました。それまではアカデミックな研究ばかりしていたので、ビジネスに関わる課題の面白さをしりました。


ーそこから今の研究分野に繋がるんですね。研究の道に進むか迷われることも多いと思うのですが、どんな方が研究の道に向いていると思われますか?


私は「ともかく一生懸命になれる人」だと思います。研究は簡単には成果が出ないなど、想像以上に辛いことも多いです。それでも、研究を続けなければなりません。「一生懸命であること」自体にポジティブに取り組み続ける人はどんな分野でも強いですが、研究にも向いていると思います。


今振り返ると、私は「何故これをやらないといけないか」などをあまり考えてきませんでした。時々「それは何の役に立つのか?」と聞く学生さんがいますが,何の役に立つのかは関係ないのです。泥臭く一つずつやっていましたが、それ自体が楽しかったという感じです。


ーそうなんですね。競争の中で、教授として残られているんですね。


研究は好きで続けられますが、教授になれたのはたまたまですね。でも、現在のデータサイエンスの分野は供給が足りていないので、そこは追い風ですね。大学教員や研究者の公募も多いです。



データサイエンスの魅力とは

〜統計学とは違う?〜


ー後藤先生にとってデータサイエンスの魅力は何だと思われますか?


知的好奇心が満たされることです。この分野は客観的に存在するのはデータだけです。決まった型がないので、様々な分析手法などを試すことができます。その際に自分の知識などが積み上がっている感覚があります。例えるなら、素晴らしい料理の素材がデータとすれば、分析手法は様々な料理の技術。最先端の調理器具を駆使して、最高の料理を作るにはシェフの腕前も最重要です。


ーそれは面白いですね。データサイエンスは統計学とは違うんですか?


そうですね。従来の統計学は分析目的がきちんと定められてからデータ収集と分析が設計されます。一方、昨今のデータサイエンスでも本来はそのスタンスは同じはずなのですが、膨大で多様なデータが先に存在し、利用できる環境が整っています。


しかし、目的なくデータを分析しても意味がありません。そのため、適切な目的や問題設定を組み立てるところから始まります。



後藤ゼミの特徴とは

〜先生は監督?〜




ーデータサイエンスを扱うゼミは他にもあると思うのですが、後藤先生のゼミの特徴は何でしょうか?


私の研究室の特徴は基礎研究と応用研究を両方扱っていることです。先ほどのように、データサイエンスを料理に例えると、圧力釜や包丁といった道具を改良していくことが基礎研究です。対して、レシピを考え、実際に料理を作っていくのが応用研究です。


理論と実践の双方を扱うことで初めてデータサイエンスの全体が見え、実社会によい提案ができると思います。


ーゼミはどのように行われているのですか?


私は研究室の学びやすい環境づくりに徹しています。学部の学生には修士の学生がフォローしたりしています。1人1人の研究テーマは別ですが、研究室を一つのチームに例えていてチーム全体で戦うようなイメージです。そして、選手はあくまでも学生で、教員はコーチみたいなもの。チームでいい雰囲気作ることが重要だと思います。


ーゼミ生はどんな進路に進まれるのですか?


かなりの学生が修士課程に進みますが、その後は企業で働く人がほとんどですね。インターンをしながら研究をしている人も多いですし、データサイエンス系の人材は企業からの需要があるので、企業で活躍するイメージは強いです。


一方、博士課程に進学する学生もいて、来年度は7人のドクターメンバーがアカデミックな研究領域で活発な研究を展開してくれる予定です。



学生に向けて

〜何が幸せ?〜


ー学生時代を振り返って、やっておけば良かったと思うことはありますか?


この質問に明確な答えはないですね。なぜなら、もし違うことをやっていたら、今の自分はないので。自分の場合、「学生時代に野球ではなくもっと勉強や研究をしていれば良かった」といった思いはありません。野球で得た基礎体力や経験は研究生活にも生きています。私は単科大学を卒業しているのですが、劣等感などはありません。人間の能力の差は2倍もないと思っています。


ですから、足りない分は余計に努力すれば差は埋められる。「優秀な人が1時間でできることを、自分は2時間かけて頑張ろう!」と思っています。ただし、毎日の積み重ねが必要な能力は、毎日の積み重ね以外の方法では簡単に縮まりません。日々、他人よりも少しずつ頑張って積み上げていくことです。


ー最後にこちらを見てくださっている学生さんにメッセージはございますか?


目の前のことを好きになって欲しいと思います。自分の経験からも言えますが、将来何が役に立つかなんて予測できません。どのルートに乗ったら将来幸せになれるかも実はわかりません。それならば、ポジティブに目の前のことに情熱を注いだらいいと思います。「好きこそ物の上手なれ」という言葉もありますが。環境のせいにせず、いま挑戦できることにどんどんトライしてください。


私も教授になる前、カナダ人の先生のお誘いでネパール研修に偶然参加したのですが、それがきっかけで15年以上、現在も続くプロジェクトになりました。ネパールをフィールドとした現地調査と分析を実践する学生向け研修プログラムですが、「データサイエンス分野の後藤が何で?」と思われるかも知れません。直接関係はないかも知れませんが、そういった一見関係なさそうなことが、実は様々な意味で役立っているのですよ。


ー本日は貴重なお話をありがとうございました!



教授プロフィール

研究室 HP


経歴

1992年3月武蔵工業大学 工学部 経営工学科 卒業

1994年3月武蔵工業大学 大学院 経営工学専攻 修了

1997年4月早稲田大学 理工学部 助手

1998年3月早稲田大学 大学院 博士後期課程 単位取得後退学

2000年2月博士(工学) 早稲田大学

2000年3月東京大学 大学院 工学系研究科 環境海洋工学専攻 助手

2002年4月武蔵工業大学 環境情報学部 助教授

2008年9月早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 経営システム工学科 准教授

2011年4月早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 経営システム工学科 教授



早稲田大学_教授
先生がネパールを訪れた際の一枚






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